皆さんは点棒状況判断は得意ですか。
特にオーラス僅差の押し引きの判断は得意ですか。
これが得意だと胸を張って言える方は、麻雀強者だと思います。
私も胸を張って得意だといえるほど、正確に点棒状況が判断できている自信はありませんし、オーラス僅差の胃が痛くなるような状況は苦手です。
麻雀初心者の方は、点棒状況で手牌の進め方が変わることを知らない方もいらっしゃると思います。
しかし、手牌と同様点棒状況は麻雀をしている中でも数が限られた100%確実に拾うことが可能な情報です。
この100%拾える確実な情報をいかに活用できるかが麻雀の勝負のカギを握るといっても過言ではありません。
そこで今回は、2023年11月29日のMリーグ2戦目で、KADOKAWAサクラナイツ・堀慎吾プロの牌譜検討から点棒状況判断の方法をお伝えします。
今回の記事を読んでいただくと以下のような力が身に付きます。
- 点棒状況判断とは?
- オーラス僅差での手牌の進行方法
- 点棒状況を踏まえた相手と自分の立直のかけやすさの判断
- 手牌と点棒状況を踏まえた押し引き
- 世の中で言われていることとは異なる正しい判断方法と思考方法
今回の点棒状況判断は麻雀初心者から上級者まですべての人が見る価値のある情報ですが、特に
- 点棒状況判断の方法を知らない方
- オーラス僅差が苦手な方
- オーラスで思っている着順が取れない方
- 放銃した時の着順で判断している方
以上の方におすすめです。
この話を聞いて私は点棒状況判断に革命が起きました。
特に麻雀中級者くらいの方には必見の内容かと思います。
オーラス僅差での手牌の進め方

2023年11月29日のMリーグ2戦目のオーラスのこの状況。
堀慎吾プロ視点で進めていきます。
点棒状況は、堀慎吾プロ(KADOKAWAサクラナイツ・日本プロ麻雀協会)トップ目で25,900点。
そしてなんと2着目・白鳥翔プロ(渋谷ABEMAS・日本プロ麻雀連盟)25,800点で堀プロが100点リード。
3着目・萩原プロ24,300点(TEAM RAIDEN/雷電・日本プロ麻雀連盟)。
ラス目・小林剛プロ24,000点(U-NEXT Pirate・麻将連合)。
上下2000点の胃の痛くなるような状況。
あなたならどのように手牌を進めますか?
ここでの堀プロの方針は、とりあえず和了りを目指すことです。
Mリーグはゲーム終了時にトップを取るとボーナスで50,000点、2着だと10,000点、3着だと-10,000点、4着は-30,000点獲得するルールですのでトップを取ることが非常に大切なルールです。
つまりこの状況で、例えば降りるという選択肢はなく和了まで1番効率のいい打牌選択をするということです。
点数差による立直判断
もう1つ重要なことは、堀プロと2着目の白鳥プロで圧倒的に違う部分があるということです。
再度状況を確認しましょう。

2着目の白鳥プロとの点数差が100点であり、白鳥プロと萩原プロとの点数差が1,500点であることです。
この局、堀プロは立直をした瞬間着落ちしてしまいますが、2着目の白鳥プロは立直をしても瞬間着順は変わりません。
ここでラス目の親の小林プロの立場に立ってみましょう。
小林プロはこのまま4着で終了すると、素点に加えて‐30,000点のボーナスがついてしまいます。
小林プロはトップまで2,900点。トップで終了すると+50,000点のボーナスをもらうことができます。
以上を踏まえると、小林プロは基本的には降りることがない状況です。
それでは堀プロの状況に戻りましょう。
堀プロは放銃するとほとんどの場合で4着になってしまいますが、立直をして和了れなかったときは2着順落ちるため立直が相当しにくい状況です。
堀プロと白鳥プロで立直をするリスクが異なり、堀プロは極力立直をせずに和了り向かう必要があります。
鳴く牌を考えよう
巡目が進んで3巡目の状況です。

堀プロの手牌は結構良い感じになってきてます。
現状、ペン3m・36s・258pもしくは36s・嵌8p・4m3pみたいな二向聴になってます。
手牌としてはかなり良い方で、この瞬間に鳴く牌を考えておきたい。
堀プロは、この手牌は嵌3萬と6筒は絶対にチー。3筒はポンしたい。36索のチーと嵌4筒のチーが微妙と判断しました。
それぐらい和了りに貪欲になりたい局面だということです。
続いて4巡目。先ほどの手牌から6萬をツモった場面で何を切りどう進めましょう。

堀プロはここで9筒切りを選択しました。
辺3萬と258pの一向聴。
5~8の萬子を引いて6の萬子に引っ付くことで、鳴いて断么九にわかりやすくいける手牌になります。
引き続き鳴く牌はあんまり変わってない感じです。
一向聴に取る?取らない?
1つ進んで5巡目。ツモ5筒の場面。
立直をしたくないけど絶対にアガリに向かいたい場面であなたならどうしますか。

堀プロのここの選択は1萬切りを選択。
もちろん一向聴に取る手もあります。
しかし、まだ5巡目なこと、白鳥プロとの点数差を加味すると立直を打ちずらいことを含め二向聴に戻しました。
さらに、この手牌は引き続き鳴ける牌がいっぱいあります。
そのため、すぐ一向聴に復帰する可能性が高い。
3萬ダイレクトはめちゃくちゃ痛いですけど、そこまで裏目ることが少ない。
3萬をツモる前に鳴く牌が出ることが多いため二向聴に戻しやすい。
36索とかを鳴いたら、6萬・3筒を切ってる一向聴より引っ付き候補が1つ多い分全然優位である。
鳴ける牌が多い分裏目る確率が低い。
鳴いてしまえば自分のツモも来ないため、3萬もツモりにくい。
すべてを考えて二向聴戻しが選択されました。
最後に8巡目。2萬か6萬のどちらを切るかの選択。あなたならどうしますか?

堀プロ、ここは危険度で6萬を選択しました。
この瞬間、誰かに聴牌が入っていて闇聴でロン2,000って言われたらラスです。
しかし、基本的自分がこの手牌ならまっすぐ行くことが前提ですので、この瞬間6萬でロンと言われることを恐れている場合ではないので、危険度で6萬から切っておくことを選択しました。
立直を受けての判断
ここからが今回の本題です。
9巡目に3着目の萩原プロからの立直が入り10巡目に無筋の1筒を引いてきました。
放銃すればほぼラスの状況であなたならどうしますか?

まずは、1巡前の4萬。
これはもちろんポンした方が一向聴の受けとしては広いです。
しかし、放銃してしまったら大体ラス。
放銃して助かるのは1300と1600だけ、2飜あったらラスという非常に行き辛い状況です。
4萬をポンして瞬間わざわざ2mという無筋を切って、さらに筒子か索子1枚絶対押さないと行けないので、1コ押す牌が増えてます。
堀プロは、そこまでは流石にやりすぎと判断しました。
そして、上の状況。
堀プロはこの無筋の1筒は押すことを選択。
1筒と2萬は、3萬引いた時に現物の4萬を切って勝負を先送りにできる上にさらに一向聴が広くなる。
7筒が通っているので、1筒を通した後は4筒も押しやすい。
以上のことから1筒を押すことを選択しました。
押すか引くかの点棒判断の思考方法
今回の状況、放銃すると1着から4着になってしまいます。
1着から4着の放銃は、誰もが今までしたことあると思います。
放銃してしまったときはかなりのショックを受けるでしょう。
ちょっと麻雀上級者になると、1着から4着だけはやっちゃだめですよ言う方が多いです。
そういう麻雀上級者に散々言われてきて、1着から4着だけはやっちゃだめなんだってなってる人は結構いることでしょう。
では以下の状況2つを比較してみましょう。

例えば、②の状況のように自分が29,800・1着目で親番、他全員が23,400で同じ手牌で子どもから立直が来たとする。
②は5,200放銃までなら2着が残り、①の状況は放銃したらほぼ4着。
①の点棒状況とどちらが押しやすいですか。
これは、①の状況の方が押しにくいと考える方が多いのではないでしょうか。
これが、この局面に対する正しい考え方ができているかどうかがわかります。
まず②の方は、1着から4着になる可能性は、満貫を放銃したら4着。5,200までは2着。
そこは正しいのですが、そもそも、そういう風に1着から4着って考えるのではなく、降りたら何着になる確率が高いかを考えるべきです。
②の方は23,400が3人いて競っている状況。
2着目の人は和了れば2着目が確定するので、その立直も高いか安いかわからない。
そのため、降りて1着のケースが全然あります。
降りて1着がある以上、満貫を放銃すると4着になるのが見合わなくなります。
さらに降りているとかなりの確率で2着が保証されており、降りても全然1着がある。
①の場合は、降りると立直者が1,300で1着。
1,600で同点1着もしくは親が連荘して次局捲る以外は1着はなく、立直者はツモれば1着。
基本的にはこういう時、1着から4着という考え方ではなく、この時自分が降りたら何着になることが多いかを考える。
①は1着はほとんどない。立直者が和了ったらよくて2着。放銃はほぼ4着となります。
親が連荘した次局は3着目で迎え、3人聴牌の場合は4着目で次局となります。
比較が今1着目だから放銃したらラスになるとかではなくて、降りたら自分は何着になることが多いかを比較する。
なぜなら降りるか押すかの選択だから。
例えば、①のような状況では、立直の現物で子どもがすぐに聴牌して放銃した場合は2000点放銃で4着なので、降りても2着すら保証されてない。
①場合は降りた場合はよくて2.4〜2.5着、押して放銃した場合は4着。
しかし、①のような点棒状況で2.5着から4着なら当たり前に起こるため、今回のようなかなりいい手牌なら当然押せることになります。
今回の状況のような、トップ目から押すことに抵抗がある人は考え方がわかっていない人が多いと思う。
単純に1着から4着になることが嫌だではなく、降りた時に何着になる確率が高いのか。
②の例は降りた時にトップが全然あるので5,200まで放銃できるが押しにくくなる。
そのため、①のような状況の場合は、極力押したくはないけど基本的に降りることはないということになします。
この後、堀プロはすべての牌を押し、白鳥プロから3,900を和了りました。
最終着順は、1着堀プロ・2着小林プロ・3着萩原プロ・4着白鳥プロとなりました。
まとめ
今回は堀プロの牌譜検討の1部から、点棒状況判断の解説を行いました。
オーラスの点数が微差の時の状況判断は非常に難しく、悩んでいる方も多いかと思います。
しかし、今回の堀プロの発言の
比較が今1着目だから放銃したらラスになるとかではなくて、降りたら自分は何着になることが多いかを比較する。
なぜなら降りるか押すかの選択だから。
以上の思考方法が非常に重要だと感じました。
皆さんもぜひ今回の思考方法を取り入れてみてください。
堀プロ著書・元配信
麻雀 至極の戦略
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堀慎吾×渋川難波 麻雀 天才の思考 魔神の選択
【11月29日(水)19:00~】Mリーグ2023‐24振り返り生放送「堀慎吾の『好きに言わせろ!』」
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